難病医療費助成制度とは?
国が定める「指定難病」に罹っていて、なおかつ一定の重症度以上の人は難病治療にかかる医療費の助成が受けられる可能性があります。助成を受けるためには申請が必要です。
▼難病情報センター 指定難病患者への医療費助成制度のご案内https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460
特定医療費(指定難病)受給者証とは?
難病医療費助成の申請が通った暁に、この受給者証を手に入れることができます。
どんなメリットがある?
難病治療の医療費負担額が3割→2割になる
通常、医療費の自己負担額は3割ですが、難病治療での通院費・薬代が2割負担になります。
さらに、所得に応じてこれにかかる負担額の月額上限も設定されます。
例を挙げると
潰瘍性大腸炎の診察・薬(リアルダ1200mg×4錠/日、ミヤBM×6錠/日)を処方された場合
3割負担の場合のおおよその金額
診療費:1,410円
薬代(30日分):6,608円
合計:8,018円
2割負担の場合のおおよその金額
診療費:940円
薬代(30日分):4,405円
合計:5,345円
あくまで例なので実際にかかる金額は異なりますが、1回の診察でもこれだけ差があるのがわかると思います。金額が高ければ高いほど受けられる恩恵も大きくなります。しかも月の上限額も設定されるので安心です。
ただし、難病治療以外での医療費は3割負担&上限額も関係ないのでこの点は注意です。
(私は潰瘍性大腸炎のついでに花粉アレルギーの薬をもらったり風邪の診察をしてもらったりしますが、その分はきっちり3割負担で請求されています。)
携帯料金や施設等の割引が使えるかも
携帯各社が提供しているハーティ割や、水族館・美術館などの割引で使えることもあります。
その他、コープの基本料が割引になるところもあるみたいです。(羨ましい)
デメリットはある?
更新頻度が年1回のため面倒&臨床調査個人票や書類準備にお金がかかる
受給者証は毎年更新が必要です。私が住んでいるところでは秋ぐらいに更新手続き用の書類が送られてきます。
そのたびに書類を準備して窓口に手続きに行くことになります。
(郵送でも可能かもですが、窓口だと保険証や自己負担上限額管理表をコピーする手間がなくなって楽)
臨床調査個人票を書いてもらうのにも数千円、住民票の取得も必要でお金がかかります。
病院の会計で受給者証と管理表の提出が必要になる
難病治療の会計の際に必要になるため、病院に行くときは持ち歩く必要があります。
薬局に行くと【保険証、お薬手帳、受給者証、管理表、処方箋】の提出が必要になるのでちょっと慌てますね。地味にかさばります。
ちなみに提出を忘れても2割負担にしてもらえるか、3割負担でも後日提出した際に払い戻しはされると思うので、そこまで大きなデメリットにはならないと思います。
病院や薬局の会計に時間がかかる
病院側で管理表の記入が必要になるため、会計に時間がかかる場合があります。
まだかなーと30分くらい待つこともありますが、早いときは5分程度で済むこともあるので会計の混み具合によりますね。
申請の流れ
手続きの大まかな手順です。
- 自分の症状と難病の診断基準・重症度分類を知る
- 指定医に臨床調査個人票を書いてもらう
- その他の書類をそろえる
- 市区町村の窓口に提出する
- 審査結果を待つ・受給者証を受け取る
自分の症状と難病の診断基準・重症度分類を知る
まずは以下のサイトから、ご自身に該当する病気を探してください。
▼難病情報センター 病気の解説・診断基準・臨床調査個人票の一覧 五十音別索引https://www.nanbyou.or.jp/entry/5461
「概要・診断基準等」をクリックします。
病気のことが書かれたPDFファイルが開きますので、上から読んでみてください。
最後のページあたりに、助成の対象になる重症度とその症状が書かれています。
ご自身の症状がどれくらい当てはまるか確認しましょう。分からない場合は診断基準のPDFを見ながら主治医と話してみましょう。
指定医に臨床調査個人票を書いてもらう
ご自身が通院している病院に指定医がいれば書いてもらえますが、いない場合は指定医がいる病院まで行かなければなりません。。。
患者さんご自身の症状をもとに、病院の先生に臨床調査個人票を書いてもらいます。
先ほどのURLの一覧画面に「臨床調査個人票」があるので、クリックしてPDFを表示・印刷します。印刷ができたら病院に記入を依頼しましょう。
<参考>難病指定センター 都道府県・指定都市別「難病指定医」一覧https://www.nanbyou.or.jp/entry/5309
その他の書類をそろえる
調べた県の難病医療費助成ページがヒットすると思いますので、そちらから申請用紙のダウンロード&印刷や必要書類を確認します。
- 申請用紙
特定医療費(指定難病)の申請用紙は各都道府県により様式が異なります。
分からない部分は空欄のままにしておき、市区町村の窓口に提出する際に聞きながら記入しましょう。 - 同意書
各都道府県の難病医療費助成ページに、恐らく同意書のリンクもあると思います。
こちらも併せて印刷&記入しましょう。 - 住民票
- 市民税県民税課税証明書
- 保険証のコピー
などが必要になります。
さらに、
月ごとの医療費総額が33,330円を超える月が年間3回以上
または
月ごとの医療費総額が50,000円を超える月が年間6回以上
ある場合、該当の医療費明細書も併せて提出できるようにしておきましょう。
市区町村の窓口に提出する
臨床調査個人票やそろえた書類を持って、市区町村の窓口に提出しましょう。
福祉課や保健センター、保健所などが受付になるところが多いかと思います。
審査結果を待つ・受給者証を受け取る
申請をしたら結果を待つのみです。審査会が開かれる時期が決まっているようで、申請時期によっては数か月待つと思います。
審査が通れば結果とともに受給者証が送られてきます。
診断基準に満たない・・でもちょっと待って!
指定難病の重症度に基準に満たなくても、医療費が基準を超えるとこの制度が使える場合があるんです!
それが
月ごとの医療費総額が33,330円を超える月が年間3回以上
または
月ごとの医療費総額が50,000円を超える月が年間6回以上
です。
ちなみに上記の金額は10割負担での金額なので診察、検査、薬代で実際に支払った金額(3割負担)ベースだと
10,000円以上支払った月が年間3回以上
または
15,000円以上支払った月が年間6回以上
という考え方もできます。
症状の重症度が基準に満たなかったとしても、医療費がかかってしまうケースは多いです。
本当にこれらに該当する月がないか、医療費の明細書を確認してみてください。
まとめ
初めて申請をする場合、分からないことだらけだと思います。
しかも難病だと診断されるタイミングは症状もかなり出ていてしんどい状態のことが多いのではないでしょうか。そんな状態で頭も体も使って面倒な手続きをするのは辛いと思います。
でも、受けられるメリットは大きいので、ぜひ周りの方や行政機関を頼りながら申請してみてください。
それでもやっぱり辛いなぁと思ったら、余裕が出てからにしてくださいね。
ストレスや疲れで症状が悪化したら元も子もないですよ。